2008/11/04

更迭された航空幕僚長の論文

テレビで散々やっている話題ですが、問題になった論文の文言だけ取り上げられて、その記述前後の内容についてはまったく触れられていないので論文を読んでみた。
書かれている個々の記述は引用などで裏付けがあって、細かい点では微妙なものもあるけれど、全体としてはよくまとまっていると思います。

けれど、現代の感覚で当時を解釈仕直したというか、結論ありきでそこに至るまでの間に都合の良い事実を並べたという感じは強く感じました。それは当時の状況を考えれば日本の対応は非常に紳士的であったし、戦争という行為に至った事にも列強に陥れられたためという事実を述べた流れで、侵略国家というのは濡れ衣だと表現している点に表れていると思います。

中国や韓国での日本叩きは内政の問題を外交に向けさせるために政府から放置されエスカレートした結果だから、日本が繰り返し謝罪や補償を含めた対応をする必要はないと思うけれど、かといって侵略戦争ではないというのは当てはまらないと思う。
仕向けられたものだとしてもそれに乗った責任はあると思うし、侵略でないとするならば自衛という事になりそうですが、石油を求めて南下して戦線を拡大したのは間違いないと思います。そんな戦争に巻き込まれた市民の事を考えれば、日本として申し分けないという気持ちを持つ事は重要なのではないでしょうか。侵略したけれど当時の状況の中で日本人は立派に対応したという事なら理解できるんですけれど、戦争はしたけれど侵略していないというのは成立しないように思います。

問題は必要以上にネガティブな歴史観を持ったまま、それを自ら修正する事もなく受けいれてしまう日本人がいる事と、そんな事を教えてしまう教育にあると思いますが、そういう憤りを論文という形にまとめてしまったように感じました。幕僚長という立場を考えれば退官後にゆっくりと堂々と意見を主張するべきだったでしょう。
こんなに素直な人が組織のトップになるなんて、老練かつ狡猾なやり取りが必要とされている現代にあってつくづく日本は平和なんだと思います。

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